腰痛について

ここでは、腰痛に関する基礎知識と、発症メカニズムについて説明したいと思います。
現在、病院でのレントゲンやMRI等の画像診断により骨の異常などが認められ、原因が特定出来る腰痛は、15%程度で、残りの「85%以上は原因不明」と言われています。
多くの腰痛持ちの方が病院へ行って、「特に異常なし」と言われて、痛み止めや湿布を渡されて、悶々とした気持ちで診察が終わってしまったという経験をされています。

腰痛の85%以上は原因不明
「85%以上は原因不明」と言われているのは、病院での画像診断により「特に異常なし」と診断された方を指しています。

まずは、背骨の構造を簡単に説明します。その次に病院の画像診断により、原因が特定出来る15%の腰痛の代表的な疾患を説明します。

背骨の構造

背骨は、上から頚椎7コ・胸椎12コ・腰椎5コ(椎骨 計24コ)、仙骨・尾骨が積み重なった構造になっています。

椎骨と椎骨の間には、椎間板という線維軟骨があり、衝撃吸収の役割をしています。椎間板は、背骨の前方(お腹側)に位置し、外側の線維輪の中心にゼリー状の髄核がある2層構造になっています。
上下の背骨は、背骨の後方(背中側)で関節(椎間関節)を作り、椎間板と共に背骨を支えています。
椎間板と椎間関節の間に、脊柱管というトンネルがあり、脳からの神経の束がこのトンネルを通って伸びています。この神経の束を脊髄と言います。上下に積み重なった背骨の両サイドにある、椎間孔という孔から、腕や脚・内臓の働きを支配する、運動神経・感覚神経・自律神経の3種類の神経(末梢神経)が伸びています。末梢神経に対して、中枢神経とは、脳+脊髄の事を指します。

画像診断により特定出来る代表的な腰痛

腰椎椎間板ヘルニア

20~30代の人に多く、前かがみで重い物を持ち上げた時などに多く発症します。

椎間板は外側の線維輪と、内側の髄核に分かれますが、この椎間板が前かがみなどで強く圧迫されて負担をかけ、外側の線維輪が強く傷つくと、内側にある髄核が線維輪を突き破り、外に出てしまいます。この様に起こるのが、腰椎椎間板ヘルニアです。

この破れた線維輪を修復しようと炎症が起き、飛び出した髄核が神経を刺激します。これがヘルニアによる痛みの発生メカニズムです。ひどい場合は、飛び出た髄核が、背骨の後ろ側を通る神経を圧迫して、脚のシビレや筋力低下などを起こす事もあります。
「ヘルニア=手術」と考えてしまう風潮がありますが、適切な処置をすれば、ヘルニアは2か月程度で自然治癒する為、病院でもすぐに手術を勧めないのが現在の常識です。ただし、日常生活が困難になる場合、手術が必要になる場合もあるので、お医者さんとよく相談して下さい。

痛み始めてから、3日~1週間位は安静にしておいた方が無難です。
ひどく痛む急性期を過ぎてから、整体施術で整えることをお勧めします。

変形性腰椎症

50~60代以降の方に多く見られます。

加齢により椎間板の水分が減ってくると椎間板が徐々につぶれてきてしまいます。すると骨への負担が大きくなり、刺激された骨は細胞増殖させて、腰椎を大きくして腰を安定させようとします。この増えた骨が、骨棘といわれる骨のトゲです。大きくなると、神経が通っている脊柱管を圧迫するなど、痛みやシビレなどを起こします。

この疾患は、椎間板がつぶされる事で起きるので、適度な運動で筋力を付けて、整体施術で良い姿勢を維持し、なるべく椎間板の負担を大きくしないことが重要です。

腰椎すべり症

40~50代に多く、椎間板がつぶれて支えがなくなることで、腰椎が不安定な状態になり、腰椎が、前方(まれに後方)に徐々に滑るようにズレてしまう状態です。

腰椎がズレると、椎間板や椎間関節に負担がかかり、痛みや違和感が出てきます。更に、脊柱管が狭くなり神経を圧迫すると、坐骨神経痛の症状が出たり、脊柱管狭窄症に発展する事もあります。
腰椎すべり症も変形性腰椎症と同様、適度な運動や整体で使っていない筋肉を目覚めさせる事で、背骨にかかる負担を減らすようにします。

脊柱管狭窄症

背骨のトンネル(脊柱管)が、様々な原因により狭くなり、脊柱管の中を通っている、神経や枝分かれする神経を圧迫することにより、下肢のシビレや麻痺等、様々な不具合が起こります。
脊柱管が狭くなる原因としては、骨棘や、靭帯の肥厚、ヘルニアで飛び出した髄核、滑ってしまった腰椎等、あらゆる事が引き金になります。

代表的な症状としては、長く歩き続ける事が出来ず、100M位歩くと、こむら返りが起きたり、脚にシビレや痛みが出たり、しゃがみこんで休むとまた歩ける(間欠性跛行)というものがあります。もし症状が出てしまったら、背中と腰を丸めると楽になります。
更に怖いのは、放置して進行してしまうと、自律神経の障害も出て、排尿・排便障害や下肢の麻痺を起こす事もあります。お医者さんとよく相談の上、手術や治療法を考えなければなりません。
症状の出方にもよりますが、お困りでしたら一度ご相談下さい。

腰椎圧迫骨折

70代以降の女性に多い症状です。

骨粗鬆症などによって、骨密度が低くなり、背骨が徐々につぶされてしまった状態です。まずは、病院で骨粗鬆症などの治療を行う事が先決です。
軽い運動をしていただき、軽い刺激の整体を受けて頂くのは可能です。

腰椎分離症

10代前半の激しいスポーツをしている、お子さんに起きやすい、腰椎の後ろ側にある「椎弓」という部分の疲労骨折です。

初期にしっかりコルセット等で、対処しておけば、骨は再びくっつきますので、スポーツをしているお子さんが腰痛を訴えられたら、迷わず病院で検査をしてもらってください。

腰痛は時に病院で検査してもらうことも必要です。
初期の対応次第で、将来の腰の状態が左右されると言っても過言ではなく、スポーツのパフォーマンスも著しく落ちる可能性があります。
お子さんの未来の為にも、親御さんの判断と行動が不可欠です。

では、病院で「特に異常なし」と言われてしまう
腰痛の原因は何でしょう? »